就業規則請負人 オオツカ事務所
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労働条件の不利益変更

1、労働条件の不利益変更の原則

労働条件の内容は、契約当事者の合意、すなわち労働契約の内容により決定され、
その変更も当事者の合意によることが必要となります。
労働条件を不利益変更する場合には、労働者の同意なしに行えないのが原則です。

なお、「黙示の同意」の成立については、近年では厳しい判断がされており、
就業規則に基づかない賃金の減額・控除について「労働者の承諾の意思表示は、賃金債権の放棄と同視すべきものであることに照らし、それが労働者の意思に基づいてされたものであると認めるに足りる合理的な理由が存在するときに限り、有効であると解するべきである。」とした裁判例があります(更正会社三井埠頭事件 東京高裁 H12/12/27)。

2、労働協約による不利益変更

(1)組合員に対する不利益変更
労働組合法第16条の規定により、労働協約は、組合員に対して不利益な内容であっても、原則として拘束力を有する。ただし、ことさら特定の組合員を不利益に扱う場合は無効となります(朝日海上火災保険事件 最小 H9/3/27)。

(2)非組合員に対する不利益変更
労働協約が、当該事業場の同種の労働者の4分の3以上で構成されている労働組合が締結したものであれば、労組法第17条の規定により非組合員にも不利益内容がおよぶことになります。ただし、非組合員に著しく不利益な内容であれば、その拘束力は否定されます(朝日海上火災保険事件 最小 H8/3/26)。
また、少数派組合の組合員および労組法第2条の但書1号の管理監督者には、その効力がおよびません。

(3)労働協約内容の合理性推定論
双方が誠意をもって団体交渉に臨み、労使の利益が調整された合意をするであろうことが経験則上考えられるため、過半数労働組合の締結した労働協約の内容については、その合理性を推定しています。(第四銀行事件 最高裁第二小法廷(H9.2.28))

3.就業規則による不利益変更

(1)就業規則の法的性質
「労働条件を定型的に定めた就業規則は、一種の社会規範としての性質を有するだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、経営主体とだけでなく、それが合理的な労働条件を定めているものであるかぎり、経営主体とるものとして、その法的規範性が認められるに至っている」のであり、したがって、「当該事業場の労働者は、就業規則の存在および内容を現実に知っていると否とにかかわらず、また、これに対して個別的に同意を与えたかどうかを問わず、当然にその適用を受ける。」としています(秋北バス事件 最高裁(S43.12.25))。

(2)就業規則の不利益変更の拘束力
「新たな就業規則の作成または変更によって、既得の権利を奪い,労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは原則として許されないが、労働条件の統一的かつ画一的な決定を建前とする就業規則の性質からいって、当該規則条項が合理的なものである限り、個々の労働者において、これに同意しないことを理由としてその適用を拒否することは許されない。」としています
(秋北バス事件 最高裁(S43.12.25))。

以上より、労働条件を不利益変更する場合には労働者の同意なしに行えないのが原則なのですが、日本の雇用慣行である終身雇用制のもとでは、使用者は、契約継続を強いられるため、当初の労働契約の内容では経営の環境変化に対応できない場合が生じます。

そこで、就業規則を変更する場合、その規定が「合理的」なものである限り一方的な不利益変更を認めるという判例が定着することになりました。

そこにおいて「合理性の内容」が問題となってきます。

判例では、「当該規則条項が合理的なものであるとは、当該規則の作成又は変更が、その必要性及び内容の両面からみて、
それによって労働者が被ることになる不利益の程度を考慮しても、なお、当該労使関係における当該条項の法的規範性を是認することが
できるだけの合理性を有するものであることをいい、特に、賃金、退職金など労働者にとって重要な権利、労働条件に関し実質的な不利益を及ぼす就業規則の作成又は変更については、当該条項が、そのような不利益を労働者に法的に受忍させることを許容することができるだけの高度の必要性の基づいた合理的な内容のものである場合において、その効力を生ずるものと言うべきである。」としています。
(第四銀行事件 最高裁第二小法廷(H9.2.28))

つまり、労働条件の不利益変更には下記のような要件によって判断されます。

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